鹿児島県ビジネスプランコンテストの最終審査会が1月23日(土)に開かれ、16組のファイナリスト達がプレゼンテーションを行いました。
大賞には吉松良平さん、優秀賞には酒井さつきさん、高校生賞にはラ・サール高等学校の吉次優太さんが発表したプランが選ばれました。
最終審査会がはじまる
コロナ禍での開催となった今年度の最終審査会、ソーシャルディスタンスを保ちながら、感染予防対策を万全にして行われました。
プレゼンテーションは、高校生部門・一般部門ともに持ち時間は10分間。(発表5分、審査員との質疑応答5分) 限られた時間内で、自分の思い描くビジネスプランをそれぞれが最大限にPRしました。
まずは、8組の高校生が行ったプレゼンテーションを紹介します。
高校生部門 8件のプレゼンテーション
① れいめい高等学校
永德 夢々さん 和田 純葉さん
プラン名「甑島を超満喫計画」
薩摩川内市・甑島の魅力を全国の人に知ってもらいたいと、クルージングやダイビングなど夏休み限定の甑島を楽しめるプランを提案。観光客が増えることで地域の活性化にもつなげたい。
② ラ・サール高等学校
吉次 優太さん
プラン名「Remote Livestock Raising System(リリーズ)」
家畜の成長の様子をライブで配信し、ユーザーがえさの種類や放牧などのオプションを使って動物を育て、最終的にその肉を食べることで、命の大切さを実感できる食育システムを作る。人と食とのかけ橋となりたい。
③ 鹿児島南高等学校
西村 秋風さん 小竹 玲奈さん 益山 真菜さん 山口 好乃花さん 泉 百々果さん
プラン名「5つ子ちゃんの焼酎物語」
鹿児島の特産品・焼酎の生産過程で生まれる焼酎粕と、同じ酒類の梅酒の生産過程で出る梅の実。これらの副産物を利用してゼリー飲料やペットの栄養補給商品などの開発を目指し、環境に配慮した製品を生み出したい。
④ 楠隼高等学校
大塚 海征さん 清永 貴暉さん (リモートでの発表)
プラン名「若さを武器に地域活性化」
自分たちの住む肝付町の魅力を全国に伝えたい。そのために、全国の中高生とリモートで交流したり、お互いの市町村の良さをSNSで発信することで、街のPRができ、地域の活性化に貢献できるのではないか。
⑤ 市来農芸高等学校
上田平 夏美さん
プラン名「農業と人を繋げる『農耕民族』プロジェクト」
規格外や豊作貧乏などにより廃棄されている作物を活かす方法を提案。販売対象にならない作物でも必ずニーズがあると考え、顧客にも農業従事者にもメリットがあるように顧客へのサービスと販売農家への出資を組み合わせたプランを発表。
⑥ 市来農芸高等学校
田原春 圭史さん 中原 遼太朗さん
プラン名「鹿児島発信 やっかいものからの新ビジネス」
繁殖力が旺盛で駆除が大変な雑草「ヤブガラシ」。しかし茎葉や根は薬草となるため、何か有効に活用できないかと考えた。「ヤブガラシ」を使い、駆除・栽培・商品化・販売を行う新しいビジネスを提案。
⑦ ラ・サール高等学校
犬伏 俊輔さん 大野 文聖さん 岡部 広知さん 山岡 勇太さん 大八木 雄斗さん
プラン名「『茶柱になろう!』~かごしま茶認知度向上プロジェクト~」
鹿児島県内の絶景地にドーム型の可動式の温浴施設を作り、そこでお茶風呂に浸りつつ、冷茶やお茶菓子を味わう新しい体験型のイベントを提案。このイベントを通し、全国2位のお茶の生産量を誇る鹿児島の認知度を高めたい。
⑧ 市来農芸高等学校
東 夏海さん 北島 摩耶さん(リモートでの発表)
プラン名「ジビエで作る地域の雇用」
多額の被害を出している鳥獣を地域の資源と考え、最近注目を集めているジビエ肉に加工したり、骨・皮などで工芸品を作るなど無駄にすることなく活用し、地域の産業として発展させる。
次に、一般部門の8人の方がプレゼンテーションを行いました。
一般部門 8人のプレゼンテーション
① 吉松 良平さん
プラン名「新STYLE職人の短期育成校~塗職Ⓡcollege~」
高齢化が進み若い職人が少ない塗装業を、カッコいい、稼げる、家族に誇れる新しい3K職業にしたい。そのために短期で必要な国家資格を取得でき、マナー教育なども行う新しい職人の育成校を作り、若い世代の就労の促進と鹿児島への定着化を図りたい。
② 伊牟田 雅子さん
プラン名「kidsプログラミングで、鹿児島の良さを、知ろう!学ぼう!伝えよう!」
伝えたい思いのある地域の団体とプログラミング教室がコラボして地域密着型プログラミング学習カリキュラムを制作。Kidsプログラミングを通し、鹿児島の良さを知り、伝えるスキルを身につけ、未来を担う鹿児島の子供たちの心に種を蒔きたい。
③ 森 義大さん
プラン名「鹿児島初のプロソフトボールチーム誘致により、地方の活性化を図る」
鹿児島発の女子プロソフトボールチームを誘致し、自社の建設会社で雇用しながら、年間の試合観戦や女子プロソフト選手による指導教室など様々なイベントを企画。地元鹿屋市の活性化に寄与したい。
④ 霜出 昇吾さん
プラン名「介助される人が楽になる移乗機器」
足腰が弱くなり、特にトイレでの介助が大変になった方に対し、これまでにない新しい移乗機器を開発。介護者・被介護者ともに楽な形でトイレの介助ができるようになるので、介護の現場で広く活用してもらいたい。
⑤ 原田 和寿さん
プラン名「鹿児島県の豊富な農畜水産資源とヒューマングレードで作る、安心安全な
ペット向けフレッシュフード」
獣医師・ペット栄養管理士監修のレシピを基に、鹿児島の農畜水産物を原材料として、人間と同じ安全基準で製造、即冷凍し新鮮な状態で飼い主に直送。ペット毎に適したレシピの必要量を、サブスクリプション型で販売。
⑥ 酒井 さつきさん
プラン名「通夜葬儀における『リモートお別れ会』と『故人誌』作り」
遠方や高齢などの理由で葬儀に参列できなかった方々を繋ぎ、リモートお別れ会を提案。その中で知り得た故人の情報をもとに、はがきや故人誌の作成を行う。遺族の負担軽減を図り、葬祭場へ新しいサービスを提供したい。
⑦ 柴田 玄一郎さん
プラン名「DEAR FRIEND」
世界中の遠く離れている子供たち同士が、手づくりのプレゼント交換や手紙のやり取りを通して友達になるWEBサービス。世界への興味関心につながり、このサービスを通して次世代のグローバルリーダーを育てたい。
⑧ 上野 晋太郎さん
プラン名「『計算ブリッジ』世界大会を鹿児島県で開催!」
自身が考案したトランプゲーム「計算ブリッジ」は、遊びながら四則演算の練習になるゲーム。幼稚園児から高齢者まで一緒に遊ぶことができ、世界中の人たちが楽しめるこのゲームの世界大会を鹿児島で開催したい。
「自分たちの住む街の活性化を図りたい」「様々な分野で社会の役に立ちたい」「子供たちの心を育てたい」など、ユニークな発想やこれまでになかった新しいアイデアが次々と発表され、地元鹿児島を愛する気持ちや、社会に貢献していきたいという熱い気持ちがとても伝わってくるプレゼンテーションが続きました。
4人の審査員の方が審査
4人の審査員
- 鹿児島県信用保証協会 内村 大作さん
- 鹿児島県商工会連合会 林 輝吉峰さん
- 合同会社Go!Kagoshima代表 門田 晶子さん
- 株式会社Climbest(クラインベスト)代表取締役 脇野 真梨江さん
審査員の方には、プレゼンテーションを聞き、質疑応答する中で、実現性、独創性、成長性、地域貢献性、事業収益性、熱意、発表のわかりやすさという7つの視点で審査していただきました。
審査員が大賞、優秀賞、高校生賞をどのプランにするか協議をしている間、講演も行われました。
そして、いよいよ審査結果が発表されました。
鹿児島県の塩田知事による表彰
受賞者には、鹿児島県ビジネスプランコンテストの主催者である鹿児島県の塩田知事から盾と賞金が贈られました。
高校生賞
ラ・サール高等学校 吉次 優太さん
一般部門優秀賞
酒井 さつきさん
一般部門大賞
株式会社TSグループ 東翔&塗職 吉松 良平さん
内村大作さんによる講評
審査員4人を代表して、鹿児島県信用保証協会の内村大作さんに講評をしていただきました。
内村さんは「どのプランも素晴らしく、高校生部門も、一般部門もかなり拮抗しました。今回受賞は逃しましたが、さらにブラッシュアップして来年再チャレンジしたら、賞を狙えるプランがたくさんあったと思います。コロナ禍で生活様式の変化が求められる中、人のアイデアや発想は無限にあると、今回審査をして感じました。これからも鹿児島のため、鹿児島の経済発展のために是非頑張っていただきたいと思います。」とファイナリスト達にエールを送ってくださいました。
続いて、鹿児島県の塩田知事が閉会の挨拶をされました。
塩田知事 閉会のあいさつ
「鹿児島の起業率は全国平均を下回っているのが現状です。若い方たちはもちろん第二の人生で何かを始めたいという方もいらっしゃると思います。そういう起業されたい方の機運を高め、鹿児島から世界に羽ばたくビジネスが出てきてほしいと願っています。鹿児島県でもさまざまな起業家支援を行って、皆様の思い描くビジネスが現実のものとなるように応援していきたいと思います。」
名刺交換会が開かれる
最終審査会の後、ソーシャルディスタンスに配慮しながら、審査員やファイナリスト、観客の方、自由に参加しての名刺交換会も開かれました。
審査会では、緊張のやり取りをしていた審査員とファイナリストの方たちも、和やかな雰囲気の中で交流し、審査員から温かな激励やビジネスの進め方についてのアドバイスをもらったり、起業を目指す同じ仲間としてファイナリスト同士が情報を交換したりしていました。
受賞者喜びの声
- 高校生賞を受賞した吉次さん
「自分で応募しようと思って参加したビジコンだったので、賞をいただいてとても嬉しいです。将来的には、大学生のうちに起業したいと考えているので、これからも頑張っていきたいと思います。」 - 優秀賞を受賞した酒井さん
「選んでいただいて本当に驚きましたし、とても嬉しかったです。たくさんの方の助けや家族の支えがあって、ここまでたどり着けました。ただ、これからが大事だと思います。必要としていただける方に届けられるように、これからも頑張っていきたいと思います。」 - 大賞を受賞した吉松さん
「社員にいつも1番になろうと言っているので、自分が1等賞をとって証明したかったけど、他の方のレベルが高くて内心やられたなあ~と思っていました。なので大賞を受賞でき本当に驚いています。大賞はプランが通用するという認証をいただいた感じで大きな励みになります。これからは、職人を育成する経営者の日本一を目指して頑張りたいと思います。」
最終審査会を終えて
今回は、新型コロナウイルスの感染拡大という厳しい時代の中での開催でしたが、そんな時代の中でも様々なビジネスに挑戦できるんだという事をファイナリストの方たちから教えていただきました。
以前、審査員のお一人がどんな時代でもチャンスはある!と語られていましたが、ファイナリストの方たちが語る魅力溢れるプラン、熱い情熱に触れ、知恵と工夫とやる気があればどんな時代でも可能性があることを実感しました。
とても感動する最終審査会でした。皆さんのプランが形となって社会の中で動き出し、生かされていくようにこれからも応援させていただきたいと思います。